
化粧品物流を検討する際、化粧品製造業許可が必要なのか、温湿度管理はどうすればいいのか、どの物流会社を選べばいいのか悩むことはないでしょうか。
化粧品物流は、薬機法に基づく許可や専門的な品質管理が必要な物流です。適切なパートナーを選ぶことで、品質を保ちながら効率的な物流体制を構築できます。
そこで、この記事では、化粧品物流を検討している方へ向けて、基礎知識や必要な法規制、アウトソーシングのメリット、導入の流れについて解説します。化粧品物流の委託先選定の参考としてみてください。
化粧品物流とは

化粧品物流とは、化粧品の入荷から保管、出荷までを行う物流サービスのことです。
化粧品は温度や湿度の変化に敏感で、品質管理が厳しく求められる商品です。そのため、一般的な物流とは異なる専門的な知識と設備が必要になります。
また、倉庫内でラベル貼付やセット組みなどの流通加工を行う場合は、薬機法に基づく化粧品製造業許可(包装・表示・保管)が必要です。この許可を持つ物流センターでは、包装・表示・保管作業を適切に行うことができます。
近年では、EC市場の拡大に伴い、BtoC向けの化粧品物流の需要が増加しています。多品種少量の商品を正確に管理し、迅速に配送する体制が求められているのです。
アパレル物流との違い

化粧品物流は、アパレル物流と比較して、より厳格な管理が求められます。
それぞれの物流の違いを表にまとめました。
| 項目 | 化粧品物流 | アパレル物流 |
|---|---|---|
| 流通加工時の許可 | 化粧品製造業許可が必要(ラベル貼付・セット組みなど) | 特別な許可は不要 |
| 法規制 | 薬機法による規制あり | 特別な規制なし |
| 温湿度管理 | 厳格な管理が必須(15℃〜25℃、湿度40%〜60%) | 色あせ・型崩れ防止程度 |
| 期限管理 | 使用期限・消費期限の管理が必須 | 基本的に不要 |
| 危険物対応 | アルコール等の危険物管理が必要 | 基本的に不要 |
最も大きな違いは、法規制の有無です。化粧品物流で流通加工を行う場合は薬機法に基づく化粧品製造業許可が必要ですが、アパレル物流では特別な許可は必要ありません。
また、化粧品は温度や湿度の変化により品質が劣化するため、倉庫内の環境管理が厳格に求められます。使用期限や消費期限の管理も必須であり、先入先出の徹底が求められます。
化粧品物流の業務内容

化粧品物流の業務内容は、大きく5つの工程に分かれます。
- 入荷・検品
- 保管・在庫管理
- 流通加工
- ピッキング・梱包
- 出荷・配送
それぞれ説明していきます。
入荷・検品
入荷・検品では、倉庫に届いた化粧品の数量や品質を確認します。
特に輸入化粧品の場合は、外装の破損や商品ラベルの表示内容を細かくチェックする必要があります。この工程で不良品や数量の間違いを発見することで、後工程でのトラブルを防ぐことができます。
検品結果は記録として残し、トレーサビリティを確保します。
保管・在庫管理
保管・在庫管理では、化粧品を適切な環境で保管し、在庫数を正確に把握します。
化粧品は温度や湿度の影響を受けやすいため、倉庫内の環境管理が重要です。また、使用期限のある商品は先入先出で管理し、期限切れを防ぎます。
在庫管理システムを活用することで、リアルタイムに在庫状況を把握できます。
流通加工
流通加工では、出荷前の商品にラベル貼付やセット組み、包装などを行います。
例えば、ギフトセットのアソート作業や、キャンペーン用のサンプル同梱などがこれに該当します。化粧品ブランドの要望に応じて、柔軟に対応することが求められます。
この工程により、商品に付加価値を付けることができます。
ピッキング・梱包
ピッキング・梱包では、注文に応じて商品を取り出し、配送用に梱包します。
化粧品は破損しやすいため、緩衝材を使用した丁寧な梱包が必要です。また、EC向けの出荷では、ブランドイメージに合わせた梱包資材を使用することもあります。
誤出荷を防ぐため、バーコードスキャンなどで正確性を確保します。
出荷・配送
出荷・配送では、梱包した商品を配送業者に引き渡し、顧客へ届けます。
BtoC向けの化粧品物流では、土日祝日の出荷対応や当日出荷など、スピーディーな配送が求められます。温度管理が必要な商品の場合は、コールドチェーンを利用した配送も行います。
配送状況の追跡により、顧客の安心感を高めることができます。
化粧品物流に必要な法規制と許可

化粧品物流を行うには、薬機法に基づく許可や規制への対応が必要です。
主な法規制と許可には、下記の3つがあります。
- 化粧品製造業許可(包装・表示・保管)
- 薬機法による規制
- その他の必要許可と届出
それぞれ説明していきます。
化粧品製造業許可(包装・表示・保管)
化粧品製造業許可は、「一般」と「包装・表示・保管」の2つの区分があります。
物流倉庫で包装、ラベル貼付、保管業務を行う場合は、包装・表示・保管区分の許可が必要です。許可取得には、責任技術者の配置と構造設備基準を満たす必要があります。
化粧品物流を委託する際は、委託先が許可を保有しているか必ず確認しましょう。
薬機法による規制
薬機法は、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器の品質、有効性、安全性の確保を目的とした法律です。
薬機法では、化粧品製造販売業者に対してGQP省令(品質管理の基準)とGVP省令(製造販売後安全管理の基準)への対応が義務付けられています。物流会社に業務を委託する場合は、製造販売業者と物流会社の間で品質契約を締結し、適切な管理手順を定める必要があります。
物流会社は、委託契約に基づき、温湿度の記録保管や製品のトレーサビリティの確保など、製造販売業者が定めた品質管理基準に従って業務を行います。
また、化粧品の容器には製造番号または製造記号の記載が義務付けられています。
参考:厚生労働省|医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律
その他の必要許可と届出
化粧品製造業許可や薬機法以外にも、必要な許可や届出があります。
アルコールなどの危険物を含む化粧品を保管する場合は、消防法に基づく届出が必要です。また、倉庫の規模や設備によっては、建築基準法や消防法への対応も求められます。
さらに、申請者には欠格事由があり、許可取り消しから3年以内の者などは許可が下りません。
化粧品物流特有の品質管理

化粧品物流では、製品の品質を保つために特有の管理が必要です。
主な品質管理には、下記の4つがあります。
- 温湿度管理
- 危険物管理
- トレーサビリティ管理
- 使用期限・ロット管理
それぞれ説明していきます。
温湿度管理
化粧品の品質を保つためには、24時間365日体制で適切な温度と湿度の環境下で管理することが必要です。
化粧品の保管温度は、一般的に15℃〜25℃、湿度は40%〜60%が推奨されています。高温や低温の状態が続いたり、激しい温度・湿度の変化があったりすると、未開封の製品でも品質が低下する恐れがあります。
また、日光により変質する化粧品もあるため、直射日光が当たらないようにする必要があります。温湿度は記録を保管し、適切に管理されていることを証明できる体制が求められます。
危険物管理
アルコールやエタノールなどの可燃性物質を含む化粧品は、消防法に基づく危険物管理が必要です。
保管する危険物の種類や量に応じて、消防法の届出を行い、適切な保管場所と消防設備を整備する必要があります。倉庫内では、危険物を他の製品と区分して保管し、火気厳禁の表示や換気設備の設置が求められます。
輸送時にも、危険物の種類や量に応じた適切な梱包と表示を行い、安全に配送できる体制を整えることが重要です。
トレーサビリティ管理
トレーサビリティとは、製品の移動経路を追跡できる仕組みのことです。
化粧品物流では、入荷から出荷までの全工程で製品の動きを記録し、いつ・どこで・誰が取り扱ったかを把握できる体制が必要です。これにより、品質問題が発生した際の原因究明や、リコール対応が迅速に行えます。
また、トレーサビリティの徹底は転売防止にも効果があります。バーコードやRFIDなどのシステムを活用することで、効率的な管理が可能になります。
使用期限・ロット管理
薬機法により、化粧品の容器には製造番号または製造記号を記載することが定められています。
化粧品は、製造後3年以内に品質が変化するおそれがある場合に使用期限の表示が必要です。製造番号に沿って、先入れ先出しの管理を行わなければなりません。
化粧品のロット管理・先入れ先出しを効率的に行うためには、倉庫管理システム(WMS)の導入が不可欠です。システム管理により、ヒューマンエラーを防止し、適切な期限管理が実現できます。
使用期限を過ぎた商品を市場に出荷すると、品質問題や自主回収につながる恐れがあるため、厳格な管理が求められます。
化粧品物流をアウトソーシングするメリット

化粧品物流をアウトソーシングすることで、企業は多くのメリットを得られます。
主なメリットには、下記の4つがあります。
- 労働力不足の解消
- コア業務への集中
- 専門的な品質管理の実現
- コスト削減
それぞれ説明していきます。
労働力不足の解消
物流業務には、入荷・検品・保管・ピッキング・梱包・出荷など、多くの作業工程があります。
近年は労働力不足が深刻化しており、必要な人員を確保することが困難です。化粧品物流をアウトソーシングすることで、物流専門企業の人員とノウハウを活用できます。
繁忙期の急激な業務量増加にも柔軟に対応でき、人員確保の負担から解放されます。
コア業務への集中
自社で物流を行う場合、倉庫管理や配送手配などに多くの時間と労力を費やすことになります。
化粧品物流をアウトソーシングすることで、物流業務から解放され、商品企画やブランディングなど本来注力すべき業務に集中できます。これにより、企業の競争力を高めることができます。
専門的な品質管理の実現
化粧品物流には、温湿度管理や危険物管理など、専門的な知識と設備が必要です。
化粧品物流にも強みを持つ物流企業にアウトソーシングすることで、既に化粧品製造業許可を取得し、専門設備を持つ企業の品質管理体制を活用できます。法規制への対応も任せられるため、安心して物流を委託できます。
コスト削減
自社で物流を行う場合、倉庫の賃貸料や設備投資、人件費などの固定費が発生します。
化粧品物流をアウトソーシングすることで、固定費を変動費化できます。出荷量に応じた料金体系により、無駄なコストを削減し、効率的な経営が可能になります。
化粧品物流の導入の流れ

化粧品物流をアウトソーシングする際の導入の流れを説明します。
導入は下記の6つのステップで進みます。
- STEP1:倉庫見学
- STEP2:ヒアリング
- STEP3:業務フロー構築
- STEP4:システムカスタマイズ
- STEP5:作業マニュアル作成
- STEP6:業務移管・全数棚卸し
それぞれ説明していきます。
STEP1:倉庫見学
まず、委託先候補の物流倉庫を実際に見学します。
倉庫の温湿度管理設備や保管スペース、作業環境などを確認します。また、化粧品製造業許可の保有状況や、衛生管理の状態も確認することが重要です。
実際に現場を見ることで、自社の化粧品を安心して任せられるかを判断できます。
STEP2:ヒアリング
物流会社の担当者と、現在の業務内容や課題についてヒアリングを行います。
取り扱う化粧品の種類や数量、出荷頻度、特別な管理要件などを詳しく伝えます。また、繁忙期の出荷量や、将来的な事業拡大の計画も共有します。
ヒアリングを通じて、最適な物流体制を検討するための情報を共有します。
STEP3:業務フロー構築
ヒアリング内容をもとに、具体的な業務フローを構築します。
入荷から出荷までの各工程の手順や、検品基準、流通加工の内容などを決定します。また、緊急時の対応方法や、イレギュラーケースの処理方法も明確にします。
業務フローを明確にすることで、スムーズな物流運用が可能になります。
STEP4:システムカスタマイズ
自社のシステムと物流会社の倉庫管理システム(WMS)を連携させます。
在庫情報のリアルタイム共有や、受注データの自動連携などを設定します。ECモールとの連携が必要な場合は、その設定も行います。
システム連携により、業務効率が大幅に向上します。
STEP5:作業マニュアル作成
構築した業務フローに基づいて、詳細な作業マニュアルを作成します。
各工程の作業手順や注意点、品質基準などを文書化します。また、写真や図を用いて、誰が見てもわかりやすいマニュアルにすることが重要です。
作業マニュアルにより、作業品質の均一化と誤出荷の防止が実現できます。
STEP6:業務移管・全数棚卸し
最後に、現在の保管場所から新しい物流倉庫へ在庫を移管します。
移管前に全数棚卸しを行い、正確な在庫数を確認します。移管後も再度棚卸しを行い、在庫の欠損や破損がないことを確認します。
業務移管が完了したら、実際の運用を開始し、初期段階では定期的に運用状況を確認することが重要です。
まとめ|化粧品物流は専門性の高いパートナー選びが重要
化粧品物流には、薬機法に基づく化粧品製造業許可や、温湿度管理などの専門的な品質管理が必要です。
自社で物流体制を構築するには、多額の初期投資と継続的な維持管理が求められます。そのため、多くの企業が化粧品物流の専門企業へアウトソーシングを選択しています。
アウトソーシングにより、労働力不足の解消やコア業務への集中、専門的な品質管理の実現、コスト削減などのメリットが得られます。
化粧品物流を委託する際は、化粧品製造業許可の保有、温湿度管理設備、実績、ECモール連携対応などを確認し、自社に最適なパートナーを選ぶことが重要です。

