
2026年4月から一定規模以上の荷主企業に物流統括管理者(CLO)の選任が義務化されますが、誰を選任すべきか、どのような手続きが必要か、お悩みではないでしょうか?
CLOは物流効率化の責任者として、中長期計画の策定や定期報告などの重要な業務を担います。選任を怠ると100万円以下の罰金が科されるため、早期の準備が必要です。
そこで、この記事では、CLOの義務化に向けて準備を進める方へ向けて、CLOの選任要件や業務内容、必要な手続きについて解説します。CLO選任の参考としてみてください。
物流統括管理者(CLO)とは

物流統括管理者(CLO)とは、企業の物流部門を統括し、物流効率化を推進する責任者のことです。
2024年の物流効率化法改正により、一定規模以上の荷主企業に選任が義務付けられました。深刻化するトラックドライバー不足や2024年問題への対応として導入された制度です。
CLOには、貨物輸送の効率化や荷待ち時間の削減など、物流全体を改善する権限と責任が与えられます。
2030年度に向けた政府の中長期計画
政府は2024年2月16日に「2030年度に向けた政府の中長期計画」を策定しました。
2030年度に34%の輸送力不足が見込まれる状況を解決するため、5つの主要施策が示されています。適正運賃収受や物流生産性向上のための法改正、デジタル技術を活用した物流効率化、多様な輸送モードの活用推進、高速道路の利便性向上、荷主・消費者の行動変容です。
2030年度までに荷待ち・荷役時間を年間125時間削減し、積載率を16%向上させることが目標です。CLOはこの中長期計画を企業内で実現する責任者として位置づけられています。
参考:内閣官房|2030年度に向けた政府の中長期計画(ポイント)
政省令などの案を作成(3省合同会議)
CLO制度の運用ルールは、国土交通省・経済産業省・農林水産省の3省合同会議で検討されました。
選任要件や届出手続き、業務内容などの詳細を定める政省令案が作成されました。3省が連携することで、製造業や小売業など幅広い業種に対応した制度設計が進められています。
政省令案には、企業規模による選任基準や、CLOに求められる権限の明確化などが含まれています。
物流統括管理者(CLO)はいつから義務化されるのか

物流統括管理者(CLO)の選任義務は、2026年4月1日から施行されます。
改正物流効率化法は2024年5月15日に公布され、2段階で施行されます。2025年4月1日に全荷主・物流事業者への努力義務が施行され、2026年4月1日に特定事業者の指定制度が施行されます。特定荷主に指定された企業は、指定後速やかにCLOを選任する義務が発生します。
対象となる企業
CLO選任義務の対象は、特定荷主および特定連鎖化事業者として指定された企業です。
指定基準は年間取扱貨物重量9万トン以上です。基準を満たす企業は国に届出を行い、国が特定荷主または特定連鎖化事業者として指定します。指定後にCLO選任義務が発生します。該当企業は荷主および連鎖化事業者の上位約3,200社で、国内の取扱貨物量の約50%をカバーします。
改正物流効率化法の内容
改正物流効率化法は、2025年4月と2026年4月の2段階で施行されます。
2025年4月1日から、すべての荷主・物流事業者に物流効率化への努力義務が課されました。
2026年4月1日からは、特定事業者に中長期計画の作成、物流統括管理者の選任、定期報告が義務付けられます。
物流統括管理者(CLO)の選任要件

物流統括管理者(CLO)の選任には、職位・資格・権限に関する要件が定められています。
ここでは、改正物流効率化法で規定されたCLOの選任要件について解説します。
職位の要件
CLOは「事業運営上の重要な決定に参画する管理的地位にある者」から選任する必要があります。
改正物流効率化法では、役員等の経営幹部から選任することが望ましいとされています。なお、勤務場所や常勤・非常勤は問わないとされています。
資格の要件
CLOの選任に特別な資格は必要ありません。
ただし、物流に関する専門知識と経営的視点からの判断力が求められます。デジタル技術の活用やデータ分析の理解も重要な要素となります。
権限の要件
CLOには、調達・生産・販売等の部門を横断して効率化を推進する権限が必要です。
社外の取引先との連携を推進するため、事業運営上の決定を主導できる立場であることが求められます。これにより、中長期計画の作成や定期報告など、法律で義務付けられた業務を適切に遂行できます。
物流統括管理者(CLO)選任に必要な手続き

物流統括管理者(CLO)を選任した場合、所定の届出手続きが必要です。
ここでは、CLO選任に必要な提出書類、届出先、提出時期について解説します。
選任の提出書類
CLO選任には、氏名と役職を記載した届出書の提出が必要です。
物流統括管理者選任届出書に、選任されたCLOの氏名、役職、選任年月日などの情報を記載します。具体的な様式については、事業所管大臣が定める省令で規定されています。
様式は国土交通省、経済産業省、農林水産省の3省で統一されており、いずれの事業所管大臣に提出する場合も同じ様式を使用します。届出様式は経済産業省の物流効率化法ページから入手できます。
届出書:経済産業省|物流効率化法について
届出の提出先
CLO選任の届出は、事業所管大臣に提出します。
荷主企業の事業内容に応じて、国土交通省、経済産業省、農林水産省のいずれかが事業所管大臣となります。製造業は経済産業省、農林水産業は農林水産省、その他の業種は国土交通省が管轄します。
様式は国土交通省、経済産業省、農林水産省の3省で統一されており、いずれの事業所管大臣に提出する場合も同じ様式を使用します。
届出の提出時期
CLO選任の届出は、選任後遅滞なく提出する必要があります。
2026年4月1日の施行に合わせてCLOを選任する企業は、施行後速やかに届出を行います。届出を怠った場合には20万円以下の過料が科されます。
物流統括管理者(CLO)が担う業務内容

CLOには、物流効率化に向けた具体的な業務が法律で定められています。
主な業務内容は下記の5つです。
- 貨物重量を把握する
- 荷待ち・荷役時間を削減する
- 積載効率を向上させる
- 中長期計画を策定する
- 定期報告を実施する
ここでは、CLOが担う各業務内容について解説します。なお、佐川グローバルロジスティクスでは、これらの業務遂行に向けた体制整備や物流効率化を総合的に支援しています。
貨物重量を把握する
CLOは自社が取り扱う貨物の重量を正確に把握する責任があります。
特定荷主の指定基準である年間9万トン以上の貨物重量を把握することが必要です。貨物重量の把握は、積載効率の向上や中長期計画の策定において基礎となるデータです。重量だけでなく容積も管理し、積載率を正確に算出できる体制を整備します。
荷待ち・荷役時間を削減する
CLOは荷待ち時間と荷役時間の削減に取り組む必要があります。
政府目標では年間125時間の削減が求められています。荷待ち時間とは、トラックが到着してから荷物の積み降ろしを始めるまでの待機時間です。荷役時間とは、荷物の積み降ろしや附帯業務に要する時間です。CLOはデジタル技術を活用して現状を把握し、予約システムの導入や作業の効率化を推進します。
積載効率を向上させる
CLOは積載効率を向上させる施策を実行する責任があります。
政府目標では、積載効率16%向上が求められています。積載効率は積載率と実車率を掛け合わせた指標です。共同輸配送の推進、発注ロットの見直し、配送スケジュールの最適化などを通じて、トラック1台あたりの輸送能力を最大化します。
中長期計画を策定する
CLOは物流効率化に関する中長期計画を策定する責任があります。
中長期計画には、荷待ち時間・荷役時間の削減、積載効率の向上に関する具体的な措置や目標、実施時期を記載します。省令案では、2026年度の初回提出期限は10月末、以降は毎年度7月末が提出期限とされています。計画内容に変更がない場合は5年ごとの提出で構いません。
定期報告を実施する
CLOは物流効率化の取り組み状況について定期報告を実施する責任があります。
定期報告では、判断基準の遵守状況、荷待ち時間・荷役時間の実績、中長期計画の進捗状況などを報告します。省令案では、2027年7月末が初回提出期限、以降は毎年度7月末の提出とされています。定期報告を通じて、国は企業の取り組みを評価し優良事業者を公表します。
物流統括管理者(CLO)を選任しない場合の法的罰則

CLOに関する義務に違反した場合、法律に基づく罰則が科されます。
違反内容と罰則は下記のとおりです。
- CLOを選任しない場合:100万円以下の罰金(刑事罰)
- 選任の届出を怠った場合:20万円以下の過料(行政罰)
- 中長期計画の実施状況が不十分な場合:国からの勧告
- 勧告に従わない場合:国からの命令および企業名の公表
- 命令に従わない場合:50万円以下の罰金(刑事罰)
企業名公表は命令違反時に実施されます。
よくある質問
CLO選任に関してよくある質問にお答えします。
いつまでに選任すべきか?
前年度の貨物重量が9万トン以上だった場合、翌年の4月末までに選任する必要があります。
2026年4月1日の施行後、速やかに選任し届出を行うことが求められます。
物流統括管理者=CLOなのか?
物流統括管理者とCLOは同義として扱われています。
法律では「物流統括管理者」と表記されますが、"Chief Logistics Officer"の略称であるCLOとして呼ばれることが一般的です。
物流部長を選任して良いか?
物流部長を選任することは条件付きで可能です。
CLOには事業運営上の重要な決定に参画できる管理的地位が求められるため、物流部長が経営判断に関与できる権限を有している場合は選任できます。権限が不十分な場合は、経営層からの権限委譲や組織体制の整備が必要です。
まとめ|物流統括管理者(CLO)の選任に向けて準備を進めよう
物流統括管理者(CLO)は、2026年4月1日から特定荷主および特定連鎖化事業者に選任が義務化されます。
年間取扱貨物重量が9万トン以上の企業は、事業運営上の重要な決定に参画する管理的地位にある役員等の経営幹部からCLOを選任し、事業所管大臣に届出を行う必要があります。CLOは中長期計画の策定、荷待ち・荷役時間の削減、積載効率の向上、定期報告の実施など、物流効率化に向けた重要な業務を担います。
選任を怠った場合には100万円以下の罰金、届出を怠った場合には20万円以下の過料が科されるため、早期に準備を進めることが重要です。自社が特定荷主に該当するか確認し、適切な人材の選任と体制整備を計画的に進めましょう。
CLO選任や物流効率化についてのご相談は、佐川グローバルロジスティクスまでお気軽にお問い合わせください。

