新たな分野へのチャレンジ(匠カフェ)

アイエスエフネットグループの取り組みを紹介する、ある説明会の質疑応答での出来事でした。熱心に話を聴いていたお母様より、「社長さんの会社は、IT系なので、うちの娘は働くことが出来ません。取り組みはとても良いと思いますが、業種が限られているのではないでしょうか?」というご意見をいただきました。そのときは、すぐに答えを見つけることが出来ませんでした。そのご意見がしばらくの間、心に引っかかっておりました。

あるとき、東北のパートナー企業の方より「カフェの出店の話が来ているが、私のところではその余力がない。ぜひ、渡邉さんのところで出店をしてみないか?」という打診をいただきました。前職も含めて、ITを専門としてきましたが、説明会でのお母様のご意見が忘れられなかったこともあり、「やってみよう」と考え、カフェ出店の準備に取り掛かりました。

また、それと同時期に、支援学校の視察において、喫茶の授業を一緒に受けさせてもらう機会がありました。その授業の中では、一人の女子生徒が私たちの接客対応をしてくれました。その生徒は笑顔が印象的で、とても良い応対でしたので、「私たちは来年、カフェをオープンします。良かったら一緒に働きましょう。」といったところ、「私は今高校2年生なので、オープンのころはまだ学生です。大変残念ですが・・・」と言われました。

たとえ障がいがあっても、適正があればカフェで働いてほしい、オーダーを取り接客をしてほしい、プロフェッショナルになってほしい、という想いをこめて、『匠カフェ』と名付け、2011年3月1日にオープンすることとなりました。採用をしたスタッフには、計算が苦手な方、オーダーを覚えられない方などがいらしたので、お客様と一緒にオーダーを確認する仕組みとしてiPadを導入しました。また、厨房も障がいのある方に配慮したものにして準備を進め、オープニングの日を迎えました。

とても楽しみにしていたオープンの日、福島の『匠カフェ』に行ったところ、なんと、以前に支援学校でお会いしたあの女子生徒が、スタッフとして働いていたのです。話を聞くと、「今回のチャンスを逃すと、カフェで働くことができなくなるかもしれないから。学校は辞めました。」というのです。彼女がスタッフになってくれたことを大変うれしく想うのと同時に、「これは責任重大だ。なんとしてもこのカフェを維持しなければならない。』とあらためて身が引き締まる思いでした。

そして、オープンから11日後の2011年3月11日、東日本大震災が起こりました。私はそのとき東京におりましたが、真っ先にカフェのメンバーは無事か、厨房などで危険な目にあっていないかと気がかりで、何度も何度も現地に連絡を入れました。しかし、すぐには連絡がつかず、不安な時間をすごしました。ようやく店長から、皆が無事であるということを聞き安堵しましたが、ご存知のとおり震災の影響でインフラがストップし、とても営業をするどころではありません。ですが、できる限りの支援を行い、外出ができるようになってからはスタッフも出社し、接客や調理の練習などを行いながら、営業が開始できる日を今日か明日かと心待ちにしていました。

東京のIT企業が母体のカフェですから、当時、福島では、「すぐに撤退するだろう」と思われていたようです。しかし、厳しい状況の中、営業を継続することが彼女たちの雇用の場を作ることになるのだという想いをもち、街にも人がまばらな中、営業を再開しました。カフェですから、お客様が来てくださらなければ、せっかく練習をした接客や調理の披露の場がありません。スタッフのご両親やご家族がお友達と来店するくらいで、お客様がまばらな日々が続きました。

そのような中、頑張っているスタッフの姿を見ていてくださった方が、週末にイベントを行ってくださったり、他のカフェと連携をしたキャンペーンを企画したりと、徐々に活気が戻っていきました。

営業再開から間もなくして、福島の匠カフェを再び訪問した際に、私はご家族との対話の時間を設けました。再会をうれしく思っていた私は、嬉々とした気分だったのですが、部屋の中には緊張した空気が張り詰めていました。そして、お母様の1人が、「匠カフェも撤退するのですよね。今日はそのお話でしょうか?」とおっしゃいました。

『撤退』のことなど微塵も考えていなかったのですが、それをきちんとお伝えしておらず、大変不安な想いをさせてしまったことをとても反省しました。そして、私の想いや、応援してくださる方がたくさんいらっしゃること、新たなカフェ展開のプランも出ていることなど、1つ1つお伝えし、皆様からの質問にも丁寧に答えてゆきました。以前から、ご家族との対話の時間は多く設けるようにしていたのですが、定期的に従業員のご家族との対話が必要である、とこのとき痛感しました。

今では、アイエスエフネットグループよりメッセージをお伝えする『ご家族と語る会』と、相互のコミュニケーションの場を設ける『父母会』とを定期的に開催して、ご家族のご意見をお聞きし、仕組みの検討や制度の導入などに活かしております。

現在、日本全国で適宜開催させていただいておりますので、ご興味があれば是非お越しください。

◎参考サイト

アイエスエフネットグループ セミナー・見学会情報サイト

URL : http://www.isfnet.co.jp/seminar/2015/index.html

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