ひきこもりゼロの社会は作れる

現在、グループ全体で約3,100人の社員、関係者がいますが、支えてくださる方々なしではこのような展開は成し得なかったと思います。

私が理事長をしております、NPO法人FDA(Future Dream Achievement)では、ひきこもりといった社会的に就労が困難な方の就労訓練などの支援を行っています。

私は、ひきこもりは社会課題に起因していると考えています。例えば、記憶力が重視される受験勉強により、自信を持てない若者がメンタル不全になったり、メンタル不全を完治することができずに元の職場へ戻ることが出来ない社会人など、誰にでも起こりうることが原因になっていることが多いと考えています。(内閣府が平成22年2月に実施したひきこもりに関する実態調査では、13~34歳の若年無業者は63万人(人口の2.3%)、ひきこもりは69.6万人となっていますが、実際にはもっと多いのではないかと考えております。【※注1】)

以前、ひきこもりのお子さんがいる女性を知人から紹介され、お話しをする機会がありました。お子さんはアトピーが原因で仕事に就くことが出来ず、外出を控えるようになり、まもなく40歳になろうとしていました。その方の支援をすべく、まず取り掛かったことは、農業に従事してもらい、体力増強、生活のサイクルを正常に戻すことから始めました。ひきこもっている期間は、ライフスタイルの乱れから時間の感覚がつかめず、昼夜逆転となっていたようですが、農作業に従事する中で、規則正しい生活のサイクルが出来、食事もきちんと取れ、体力もついてまいりました。

その後、もともとパソコンの経験や、スキルはある程度ありましたので、FDAにて社会人としてのビジネスマナーやオフィススキルを身に付けていただきました。始めは複数人数でIT作業に従事し、お客様先での業務等を行いながら実務経験を積み、そうしたことが少しずつ大きな自信へとつながったようです。今では、アイエスエフネットグループ本体の情報システム部門にて、障がいのあるメンバーと共に働いております。

<FDAから就業までの流れ(40歳・男性のケース)>

あるとき彼から直接当時のことを聞いたのですが、アイエスエフネットグループに見学に来て、障がいのあるメンバーが一生懸命に働いている様子を見て「(僕は)こんなことではいけない」と思ったのだそうです。

アイエスエフネットグループでは、外国籍の方、障がいのある方、事情があり時間に制約のある方などが多く働いています。競争せず、お互いの強みを活かしながら、弱みを補完しあえるようになっている職場環境をみて、ここでなら働くことが出来るのではないかと、彼は感じたのではないかと私は思っています。

お会いした当初のお母さんのご要望は、「女性と話をしている姿が見たい」とのことでしたが、社内での打ち合わせがありその機会は早々におとずれました。それをお母さんに伝えると、「社長、実は安定した就労もお願いしたいのですが・・・」と、初めてお会いしたときとは別人のようにお母さん自身も若返り、ご希望を述べられていたことを今もはっきりと覚えています。

このように2010年からFDAの活動を行っておりますが、ひきこもりの方の中には、障がい者手帳をお持ちではない方もいらっしゃいます。その場合、NPO活動においての充分な支援を受けることが出来ず、FDAに賛同してくださる方々の寄付によって運営しなければなりません。

私のFDAでの活動を見て、以前から交流のあったチャック・ウィルソン氏が、「チャリティ駅伝大会を行おう!」と申し出てくれました。

2010年より「NIPPON IT チャリティ駅伝【※注2】」として開催し、2014年11月に第5回の大会が開催されました。チャリティ駅伝は5人1チームで走るのですが、1人の参加費がFDAメンバー1人分/1日のトレーニング費用となります。第5回目は、IT企業を中心に85の企業・団体、3,730名のランナー、ボランティアの方々にご参加いただきました。アイエスエフネットグループは協賛企業として、賛同企業の呼びかけや参加者募集に携わり、ランナーやボランティアとして社員も多数参加しました。また、日本全国(一部海外からも)から多くの方にご参加いただき、盛大なイベントとなりました。ここでの収益は、東日本大震災の被災地支援(スクールエイドジャパン)および、NPO法人FDAへと寄付を頂きました。

このイベントのために毎年、多くの賛同企業から成る実行委員会が1年をかけてボランティアで準備をしてくださり、大会運営を行ってくださっております。また、ひきこもりを社会問題と考え、他人事ではないと想いご参加くださる多くのランナー、支えてくださるたくさんのスポンサーの方々がいらっしゃいます。

私はこれらのイベントや活動を通じて、きっかけがなく家から出られない方々に「1人ではないんだよ!応援している人がたくさんいるよ。」ということを継続して伝えてゆきたいと思っております。私たちの活動は小さなものかもしれません。ですが、このような活動を見て、1人でも勇気づけられる人がいれば、と思っております。

◎参考サイト

※注1:内閣府 「平成25年版 子ども・若者白書(全体版)第2節 若年無業者,フリーター,ひきこもり」
http://www8.cao.go.jp/youth/whitepaper/h25honpen/b1_04_02.html

※注2:NIPPON IT チャリティ駅伝 公式サイト
http://www.nit-run.com/

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