20大雇用(ソーシャルファーム)を始めて

始めまして。

アイエスエフネットグループ 代表 渡邉幸義と申します。

2000年に株式会社アイエスエフネットを創立して以来、私どもは障がい者雇用を始め、一般的には就労が難しいと思われている方々の雇用を積極的に行っております。最近では、当グループ全体で行っている取り組みについて、多くの企業や自治体、学校などから注目をいただいております。

最近のトピックとしては、2013年4月に、川崎市とアイエスエフネットグループとで、就労困難とされるの方の就労支援に関する協定を締結し、市とともに、生活保護受給者の方を就労につなげるプロジェクトを立ち上げました。開始以来、1年で102名の雇用達成となり、川崎市の福田市長へご報告に伺いました。(これは、例えばメンタル不全や、ご両親の介護などをきっかけに職を失い、再度就労の機会を逸し生活保護受給者となっている方々に対し、教育を行い再度就労につなげるという取り組みです。)

20大雇用(ソーシャルファーム)

私どもでは、このような様々な背景を理由に就労できない方々に、やりがいのある就労環境をつくり、雇用の創出をしていくことを「20大雇用(ユニバーサル就労)」と呼んでおります。

~きっかけ(履歴書を見ない採用)

2000年、ちょうど、ITバブルといわれる時期に、私は妻と、前の会社の営業、秘書全般をやっていた女性、この4名で起業をしました。あまり資金のなかったこともあり、浅草橋にオフィスを構え、日々営業活動や、新たな仲間を増やすことに奔走をしておりました。ところが、当時ITといえば、渋谷(ビットバレーといわれておりました)が主流で、後ろ盾のない私どもの会社の求人には多くの人は来てはくれませんでした。たまに来てくれるのは、約束の時間を大幅に過ぎ、スーツもきちんと着ていない若者や、履歴書も持参しない経験者など、到底一緒に働こうとは思えないような人でした。

そんなことが続いていたある日、気持ちの良い挨拶をする笑顔の素敵な若者が応募して来たのです。経験はないものの、笑顔や礼儀がしっかりしていたこともあり、仲間として受け入れることを決意しました。もちろん、ITの基礎用語や、PCの操作など、教えながら文字通り二人三脚での出発です。ところが本人の努力もあり、知識はめきめきとつき、経験も積んでお客様からも評価をいただくようになりました。そして、一人、また一人と、同じような仲間が増えてゆきました。

定期的に社員皆で懇親会を行っていたときのことです。ふと、ある社員に「君はお客様からとても評判が良いけれど、前職何をしていたの?」と尋ねてみました。すると「実は、就職できず、アルバイトで食いつないでいました」というのです。他にも「就職が決まらず、家に居ました」など、実は様々な事情を抱える社員がお客様からの評価をいただいていたのです。

そこで私は決心しました。履歴書の過去の経歴にこだわらない採用を行うことを。変えることのできない過去ではなく、今の意志、変わりたいと思う気持ちを大切にする面接を始めました。これが、履歴書・過去にこだわらない採用(20大雇用)の始まりです。

(注釈)スキルや経験値で採否を決めないという意味。就労において必要な配慮を行うため、採用選考時には履歴書を持参していただき、面接時に経歴等の確認は行います。

~障がい者雇用

履歴書を見ないのですから、「未経験者大歓迎」と求人広告や、WEBの求人媒体に出したところ、応募者が殺到し、たくさんの仲間が増えてゆきました。未経験者ですが、お客様にサービスを提供するわけですから、ITの勉強、知識習得に励む約束をした上での入社となります。ここでも、10年以上もアルバイト(フリーター)をしていた方を採用担当として抜擢したり、トラックの運転をしていた方を営業にしたり(後に営業部長、エリア統括マネージャーとなる)、地方から東京での就労を望む方に寮の用意をしたりと、たくさんの出来事がありました。このようにして、創業4年にして、社員数は1000名を超えたのです。

そんな折、都立青鳥養護学校(現・都立青鳥特別支援学校)の先生より、生徒をインターンシップで働かせてくれないか、という申し出がありました。どんな仕事ができるのだろうか、社内で受け入れることができるのか、と心配はありましたが、とにかくやってみようという思いで、受け入れをさせていただきました。元気な挨拶や、わからないことは素直に聞くという姿勢に社員も触発され、大きなトラブルも無く、良い影響を社内に残し、無事に2週間のインターンシップを終えることができました。そして何回かのインターシップを経て、アイエスエフネットに始めて障がいのある方が入社することとなったのです。

皆さんもご存知だと思いますが、法定雇用率によりある一定数の社員がいる民間企業には2.0%(当時は1.8%)の障がい者雇用が義務付けられています。当社にも、障がい者雇用をするように、とのお達しがあり、人事採用のメンバーと、採用に向けて募集をかけるなどしましたが、応募すらありません。港区からは雇用するようにと言われ、募集活動をしても応募すらない。途方にくれているときに、ある方より東京コロニー(障がいのある人たちが、自らの力で働き生活する権利を享受できるように、福祉工場や授産施設などを運営している社会福祉法人)をご紹介いただき、見学に伺いました。「すぐにでも採用したい」という想いもありましたが、何度も通い、アイエスエフネットの哲学や、ビジョンなどを伝えてゆきました。そして、まずは東京コロニーでアイエスエフネットの業務を行い、次に、試験的に当社に通勤をして業務を行うという期間を経て、新たに5名のメンバーが加わりました。こうして、2008年には特例子会社としてハーモニーの設立に至りました。

~最後に

今回、初めて連載の打診をいただきましたこと、心より感謝申し上げます。

1人でも多くの方の笑顔のために、様々な雇用環境ができるように、そして少しでも何かの参考になるように、この連載を書かせていただきます。ご意見や、ご感想などありましたら、ぜひお寄せください。

お読みくださりありがとうございました。

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