特別編 チュニジア5つ星ホテルで英独客ら39人犠牲

またか!と思わせた瞬間だった。早朝のBSニュースと友人からのメールで事件を知った。

北アフリカ・チュニジアで26日に起きたテロ事件の死者は37人となったらしい。英国人の他、ドイツやベルギーの観光客が犠牲になったようだ。このように、外国人観光客だけを狙ったテロは許せない。

チュニジア中部の町スースは、誰もが憧れるリゾート地で、特に寒い北ヨーロッパ人に人気がある。筆者もかなり前だが、10日間ほど滞在したことがある。その当時は、アラブであるにもかかわらず、フランスの影響が濃く、比較的穏健な国民性と資源がない小さな国という背景から観光資源に力を入れており、外国人を歓迎するムードがあった。但し、注意しないといけないのは、回教徒である故に、同国の女性と外国人男性が一緒に歩くことができないことだった。街に繰り出せば、特に午後からは男性が手をつないで歩いている雰囲気から、地中海を越えたフランスのような人前の「アムール」は許されない。12月中旬のクリスマス休暇中でもサンタクロースが町の店や、海浜の何処かしこに飾ってあったのを思い出す。

そう言えば、チュニジアでは、3月に首都チュニスで国立博物館が襲撃されたばかりである。これからの夏休みシーズンを控え、観光施設の警備を強化して主力の観光産業を盛り返そうと努めてきた同国政府は経済的にも困惑しているのがわかる。

仏教徒が多い日本人には理解しがたいのは、中東や北アフリカをはじめとするイスラム教国では、イスラム教の宗教儀式であるラマダン(断食月)が存在するということ。この期間では、一般に信仰心が強まる傾向にあると言われる。

例の悪名高いIS(イスラム国)は、最近、支持者に対し、今月18日から始まったイスラム教のラマダン期間中に欧州の敵を攻撃し殉教せよと促す声明をネット上に掲載していたという。

先日、ある総合商社の調整でイラク人石油精製エンジニアにサプライチェーン経営を講義する機会があった。数名のエンジニアは英語が少し苦手ではあったが、非常に熱心で挙手する時も、席から立ちあがるほどで、日本の先進的な経営を少しでも学ぼうという姿勢が見られた。昔、渋谷の語学学校で習ったアラビア語の教科書を紐解いて、かなりの表現を暗記して臨んだところ、大いに歓迎された。日本人にとって、イスラム教を理解するには時間がかかるが個々の人間との意思疎通は時間を掛ければ可能であると思っている。

スース(Sousse)

チュニジアの都市。チュニスの南約140kmに位置するチュニジア第三の都市で人口は約43万人。町は美しく「サヘルの真珠」と言われる。旧市街メディナはユネスコ世界遺産に登録されている。紀元前9世紀頃にフェニキア人によって「ハドルメントゥム」として開かれた。古代ローマと同盟を結びんでいたため、ポエニ戦争中も含めパックス・ロマーナの700年の間、比較的平和で大きな被害を免れた。ローマ時代の後、ヴァンダル族、その後東ローマ帝国がこの町を占拠し、町の名を「ユスティニアノポリス」と改名した。7世紀にはアラブ人のイスラム教軍が現在のチュニジアを征服し、「スーサ(Sūsa)」と改名。その後すぐアグラブ朝の主要港となった。その後、ヨーロッパでは技術革新が進みイスラム教に対して優勢に出始め、12世紀にはノルマン人に征服された時期もあり、その後スペインに征服された。18世紀にはヴェネツィア共和国とフランスに征服され、町の名をフランス風に「スース(Sousse)」と改名した。その後もアラブ風の町並みは残り、現在ではアラブ人による典型的な海岸の城砦都市として、観光客が多く訪れるようになった。

チュニジアと日本政府の物流・輸送の開発援助について

読者はご存知かもしれないが、チュニジア最大の都市チュニスを背後に持つラデス港・ラグレット港を視察する日本の物流業者は多い。ラデス・ラグレット両港はチュニス湖によって南北に分断され、南北間の交通はチュニス市外を通過するルートと、ラデス・ラグレットを結ぶフェリーのルートがあるが、2008年、日本のODAにより両岸を結ぶ橋梁建設が決まり、また、この工事は、現地エンジニアの育成という面も持ち合わせていた。多くの政府開発援助がそうであるように、実際に500名以上のチュニジア人を雇用し建設作業が行われたようだ。橋梁の完成によりチュニス港周辺の道路アクセスが改善されると同時に、現地国エンジニアの育成といった面でも日本の技術に対する地元の期待は相当大きなものであった。以下は外務省のホームページから抜粋したもので参考になれば幸いである。

~チュニジアの環境改善に貢献~

ラデス-ラグレット橋建設事業 Rades-La Goulette Bridge Construction Project

OECF(Overseas Economic Cooperation Fund海外経済協力基金)は、チュニジア共和国における「水資源管理事業」及び「ラデス-ラグレット橋建設事業」の所要資金として、総額 155 億 8,700万円を限度とする貸付けを行うことを決め、1999年3月30日、借款契約に調印した。今次借款契約の調印により、チュニジア共和国に対するOECFの貸付承諾額累計は20件、 1,242 億 500 万円となった。

(1)事業の必要性

チュニジアの首都チュニスを中心とするグランドチュニス地域は、チュニジアの人口の5分の1に当たる200万人が居住しており、同国の経済活動の中心でもある。現在グランドチュニス地域は、チュニス湖運河によって南北に分断されており、南北間の交通はチュニス市街を通過するルートもしくは、ラデス港とラグーレット港を結ぶフェリーを利用するルートの何れかに頼っている。しかしながら、フェリーは、運航時間及び運搬車両数等に制限があるため、南北交通の大半がチュニス市街地を通過するルートに集中し、同市街地での交通渋滞、環境悪化が問題となっている。今後も同地域の経済活動の活発化、観光需要の増大及びチュニス湖の総合開発に伴い、交通量の増加が予測されることから、チュニス市街地の交通渋滞の緩和、環境改善が望まれている。このような背景の下、第9次国家開発計画(1997-2001年)に基づく道路関連事業は、同地域の交通渋滞の緩和を狙ったものであり、本事業も首都圏の南東部と北西部を結ぶ首都環状道路の重要リンクの形成に役立つものとして重要視されている。

(2)事業内容

チュニス湖の運河を横切りグランドチュニス地域の南北をつなぐ首都環状道路の重要部分として、北側ラデスと南側ラグレットを結ぶ橋梁(エクストラドーズド橋)を建設するもの。従来、桁の中に配置されていた外ケーブルを桁の外に出したタイプであり、桁橋と斜張橋の中間に位置するもの。(back)

(3)事業効果

ラデス港とラグレット港が陸地で結ばれることにより、チュニス周辺港湾の総合的な開発促進が図られるとともに、南北チュニス湖周辺の経済開発促進等の効果が期待される。またチュニス市街地へ迂回してくる交通量が軽減されることによって、チュニス市内におけるディーゼルエンジンからの窒素酸化物(NOx)が減少し、都市環境改善も期待される。

借款資金は、本事業に必要な資機材、土木工事及びコンサルティング・サービス(詳細設計、施工監理等)等の調達資金に充当される。

当時の現地の新聞には「ラデス・ラグレット橋はチュニジアと日本を繋ぐ」の横断幕が掲げられ、日本の優れた技術が現地にしっかりと根付いたのである。また、当然ではあるが、チュニス市民の多くが日本のODAに感謝し橋の完成を待ちわびていたもので、チュニス湖を南北に縦断する橋は、すでに町の人々のシンボルになっている。

日本企業の従業員たちは皆「郷に入れば郷に従え」でチュニジア現地人に溶け込もうと努力し、資材やトラックなどの現地・近隣諸国からの調達や作業員の現地採用などあくまで現地を大切にし、日本政府にしかできない独特の現地尊重型のODAを実行した。

本事業はグランド・チュニス地域の南北をつなぐ道路として、南側のラデスと北側のラグレットを結ぶ橋梁を建設することにより、チュニス市街地に集中する交通の分散を通じたチュニスの交通渋滞の緩和、及びチュニス湖周辺の交通の円滑化を通じた周辺地域の開発への寄与を図ることを目的としている。

当時のチュニジアの港湾は、チュニジア海事港湾庁という独立公共団体によって管理されていた。

チュニジアでは,いわゆる「アラブの春」の先駆けとなった2011年の政変後,2014年12月に新大統領が選挙で選出されたが、近隣諸国の情勢悪化の影響もあり治安事情は不安定な状態が続いている。これは、同国が民主的統治体制の移行を進める中で重要課題と位置づけて取り組んでいる国内の治安対策、及び国外からのテロリスト流入防止を支援するため、空港への監視カメラシステム導入を計り、国境管理機能の向上に寄与するものなのである。

著者紹介

上原 修 (うえはら おさむ)CPSM C.P.M. MBA JGA
特定非営利活動法人日本サプライマネジメント協会TM
仏ESSECビジネススクール 国際調達・特任教授
法政大学経営大学院サプライチェーン兼任講師
東京工業大学大学院MOTサプライチェーン戦略スクール講師

略歴
大学卒業後、日本鉱業株式会社(現:JX日鉱日石ホールディングス株式会社)にて購買部に勤務、コンゴ鉱山開発会社駐在、本社国際購買担当部長、日鉱ニューヨーク事務所長歴任。米系外資(株)アルファパーチェスにて常務・購買本部長を経て、米ISM日本代表に就任。MBA経営情報学修士。米グローバルANSI購買資格(C.P.M.) 及びグローバル調達経営資格(CPSM)取得。国土交通省通訳案内業免許取得。フランス政府留学ポアチエ大学Diplome学位取得。企業留学仏ブザンソン大学文化教養学部修了Diplome学位取得 一橋大学伊藤研究室ビジネススクール修了。

主な著書
『枯渇性資源の安定調達戦略』(単独著)2011日刊工業新聞社、『人にやさしい会社 安全・安心、絆の経営』(共著)2013白桃書房、『フランス人の流儀-日本人ビジネスパーソンが見てきた人と文化』(共著)2012大修館書店、『ISO-26000実践ガイド』(共著)2011中央経済社、『グローバル戦略調達経営』(単独著)2008日本規格協会、『購買・調達の実際』(単独著)2007日本経済新聞、『やさしいCSRイニシアティブ』(共著)2007日本規格協会

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