特別編 ヨーロッパの歴然たる人種差別

日本の音楽家が仏国パリのホテルで露骨な人種差別に遭い、そのいきさつをブログマガジンに記した。同氏はイタリアへの途次パリに立ち寄り、前日夜、空港近くのホテルで1泊し、翌朝、1人で朝食を取ろうとホテル内のビュッフェに入った。他に誰も客はおらず、入口近くの眺めのいい席に腰を下ろすと、店員に奥の席へ行くよう告げられた。仕方なく席を移ると、後から来た白人客が同氏がさっきまで座っていた席に着いたが、店員は何も言わなかった。

やがてアジア人客がまた入り口近くの席に座ろうとして同氏の近くの席を指示され、次に中国人の団体客がやはり同じ目に遭った。奥の席はアジア系の客で埋まり、さらに入って来たアジア人は白人客の近くが空いているにもかかわらず入店を断られた。

同氏は言う:「まさか、自分がこんな風にあからさまに差別を受けるとは思っても見なかったから大ウケだよ」とあきれて笑ってしまった。

そう言えば、パリでは今年2月、地下鉄に乗ろうとした黒人男性がチェルシーの白人サポーターたちに乗車を妨げられ、その様子が報じられて世界的なニュースとなった。

新書『移民と現代フランス』(ミッシェル・ジョリビエ著)は、10年以上前の本だが、今でもそのまま通じることが書いてある。旅行者は移民とは違うが、仏人から見れば明らかに異人だ。フランス語で外国人や異人を「エトランジェ;etranger」と訳されるが、仏人が発するその響きは、いかにも侮蔑的である。

筆者も仏国留学時代(1970年代)常にこの現実に悩まされたものだ。欧州人は一般に自分より優れた技能を持つ異人には尊敬の姿勢で臨むことが多い。当時は武道が人気の絶頂だったこともあり、日本柔道家は非常に尊敬された。たまたま柔道をたしなんでいたせいか、結構得をした記憶がある。

ここに面白い話がある。ベルギーという国はベルギー王国と言い、西ヨーロッパに位置する連邦立憲君主制国家である。隣国のオランダ、ルクセンブルクと合わせてベネルクスと呼ばれているが、欧州連合の原加盟国であることや、地理的に欧州のほぼ中央部に位置する交通の要衝にあるため、首都のブリュッセルはEUの首都とも言われている。19世紀にネーデルラント連合王国から独立したことから、オランダ語の一種であるフラマン語が公用語の北部フランデレン地域と、フランス語が公用語の南部ワロン地域とにほぼ二分される。

しかし、仏国パリからブリュッセルまで新幹線1時間で行ける隣国だが、仏人から見れば、この国も異国であり異人が住んでいるという。ベルギー人の半分以上はフランス語を自由に話すが、あるベルギー人少女がフランスの地方都市に家族で転勤したところ、登校初日に、学校の先生と生徒から「ベルギーには犬や猫がいるか?」と聞かれたという。ことほど左様に多くの仏国以外のヨーロッパ諸国の人々は、この大国の差別思想に嫌気がさしているようだ。

ある旧ソビエト連邦の国のロシア系の人がパリに来て一生懸命フランス語を学び、数か月で完璧にマスターしたのに就職面接で「どちらの国から来たのですか?」と言われる。それは、アパートを探すときも雑貨屋で買い物する時も同じらしい。フランス人は絶対に異人を認めない、受け入れたくない例だ。

先ほどの音楽家に話を戻すと、アジア人は皆同じで非白人は非フランス人より下ということだろう。多くの日本人がパリにあこがれて観光旅行に出掛けるが、ほとんどの人が落胆して帰国するという話を聞いたことがある。

  1. 1.店員の態度が悪い
  2. 2.露骨に嫌な顔をする
  3. 3.フランス語を話さないと聞かない
  4. 4.異人の中でもアジア人、アフリカ人を相当見下している

著者紹介

上原 修 (うえはら おさむ)CPSM C.P.M. MBA JGA
特定非営利活動法人日本サプライマネジメント協会TM
仏ESSECビジネススクール 国際調達・特任教授
法政大学経営大学院サプライチェーン兼任講師
東京工業大学大学院MOTサプライチェーン戦略スクール講師

略歴
大学卒業後、日本鉱業株式会社(現:JX日鉱日石ホールディングス株式会社)にて購買部に勤務、コンゴ鉱山開発会社駐在、本社国際購買担当部長、日鉱ニューヨーク事務所長歴任。米系外資(株)アルファパーチェスにて常務・購買本部長を経て、米ISM日本代表に就任。MBA経営情報学修士。米グローバルANSI購買資格(C.P.M.) 及びグローバル調達経営資格(CPSM)取得。国土交通省通訳案内業免許取得。フランス政府留学ポアチエ大学Diplome学位取得。企業留学仏ブザンソン大学文化教養学部修了Diplome学位取得 一橋大学伊藤研究室ビジネススクール修了。

主な著書
『枯渇性資源の安定調達戦略』(単独著)2011日刊工業新聞社、『人にやさしい会社 安全・安心、絆の経営』(共著)2013白桃書房、『フランス人の流儀-日本人ビジネスパーソンが見てきた人と文化』(共著)2012大修館書店、『ISO-26000実践ガイド』(共著)2011中央経済社、『グローバル戦略調達経営』(単独著)2008日本規格協会、『購買・調達の実際』(単独著)2007日本経済新聞、『やさしいCSRイニシアティブ』(共著)2007日本規格協会

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